うらばなし


当然の報いでしょう。


まずはあなたを見た目を潰した。あなたに触れた手を土に埋めた。あなたに近づく足を別離した。あなたの名を呼ぶ声帯に石をつめた。あなたの姿を記憶した脳を犬にくわせた。


でも足りない、足りないんですよ。あなたがあのゴミと一緒にいた事実は変わらない。


イヤだ、あなたは私のモノなのに。私だけの……、私だけのあなた。あなただけの私。


ねえ、誉めてくださいよ。


体を使って、手を使って、声帯を使って、口を使って、舌を使って。


私に抱きつき、私を撫でて、私を賛美して、唇を合わせ、舌を絡めて、私の名を呼んで。


「触らないでください!」


なにをそんなに怒っているのですか。


焦らしたいのならばやめてください。もう散々なんです、胸が締め付けられてキリキリ痛むんですよ。


私は弱い。だから強いあなたが恋しく。あなたのためならば、強くなれる。どんな奴にだって負けやしない。負ける気もしない、あなたのためならば、何でもできるから。


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