うらばなし
それは、終わりの始まり――
赤き乙女を救うべく、騎士は立ち上がった。
「姫を助けることができるなら、持っていけ……!腕の一本ぐらいくれてやる!」
忠義を果たさんとする金髪の騎士。
「千の屍を築いても、まだ人は消えない。途絶えない限り、私も死ねませんね……」
全人類の毒を宿した赤き姫君。
「通りたければ、立ち塞がる。行きたければ、死んで逝け。生きたいのならば、逃げることだな。俺は、君には優しくない」
立ち塞がりし藍色の番人。
「汝、この門に如何様か?」
輪廻から外れた腐敗首の忠犬。
騎士は立ち上がる。奪われた物を取り返すために、失った物を取り戻すために。
かつての親友の裏切りに屈することなく、彼は刃を取った。
「必ず救ってみせますから、だから――」
願うは貴女の笑顔。
「また、俺の傍にいてください!」
血塗れになろうとも立ち上がる、貴女がそこで待っていてくれるから。