うらばなし
私だけの物語。譲りませんよ。


私は、欺瞞の塊なのではと思う。


「そうかね。私は君ほど誠実な人間は、そういないと断言するが。現に、他が認めるほどの『真面目』ぶり。一から十までを、何ら妥協手抜きなしに、順を追って完璧にこなそうとする、ああ、生真面目というやつか。またを堅苦しいとも言うが」


真面目だろうが、人を欺く――いいや、自己欺瞞で私は出来ているだろう?


「そうして、自己嫌悪かね。思い通りに行く毎日、現実だろうが夢だろうが、自分好き勝手に描ける時などないと知っていように。――まあ、それ故に、君は自分好き勝手な物語を書くわけだが、見透かそう。書けぬ毎日が、欺瞞か」


数ページだろうが、書けなくとも頭で書くだなんて前に言いましたが、書かなきゃ結果(成果)は残らない。頭で書きたい場面、人物を描こうが、形(成果)に残さなきゃ、ただの絵空事だ。


それでも、書いている。私の中で、みんな――物語の登場人物は、生き生きしていると、毎日あなたたちを思おうが、それで良しと満足したつもりなのに。


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