【完】私と息子に幸せをくれた人(中篇)
私はスケジュール帳を閉じてため息を吐いた。

嫌だからとかではない。

ただ、私はクールモデル。

他人に笑顔を向けるのが下手だから、相手に“NG”を出される事が多いんだ。

途中で撮影を中止された事は何度もある。

その度に、専属モデルの“チナ”や“カスミ”にチェンジされる事が多い。

あの2人が私を鼻で笑い、見下す顔を、一度たりとも忘れた事がない。

かと言って、見返すつもりも毛頭ない。

私は私として、モデルをやってるから、周りに流されるのは、ごめんだ。

―――荷物を纏めて、零士のオムツを替えてから、私は零士を連れて家を出た。




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