【完】私と息子に幸せをくれた人(中篇)
「甘いのは平気だから大丈夫」



聖さんの隣に座り、私は冷蔵庫から出したアニマルカステラを零士に渡す。

零士は以前にもあったように、カステラを千切っては丸めて、私や聖さんに渡して来た。



「零士、遊ばないの!」



膝に落ちたカステラを拾い、片付けると、次は口に入れられた。



「もふっ!食べないのね?」



私は零士からカステラを取り上げた。



「じゃあ、パパが食うー」



そのカステラを、聖さんがパクっと食べた。

私は指先を見つめる。

…触れた…。

聖さんの唇が、私の指先に…。
< 46 / 100 >

この作品をシェア

pagetop