【完】私と息子に幸せをくれた人(中篇)
私が指先から視線を聖さんに向けると、スッ…と、顔が近付いて来て、唇と唇が重なった。

甘い、甘いキス…―。



「ん、ふぅ……」



舌でかき乱されると、子供の前でも、声が漏れてしまう。

私が右手を聖さんの左頬に添えると、零士と一緒に抱き締められた。

ずっとずっと、私が望んでたであろう優しい温もりに包まれる。

私は“子持ち”だと思いながらも、溺れてしまった。

聖さんの温もりに――…。



「…翔子、零士…」



キスを終えると、更にキツく抱き締められた。

私が肩に顔を埋めると、そっと頭を撫でられた。
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