【完】私と息子に幸せをくれた人(中篇)
私は「春風さん?」と、声を掛けた。



「ん?あ、アレ…?君、17歳じゃなかった?」



「…そうですけど。子持ちでビックリさせました?」



こういうリアクションは、慣れてる。

私は「息子の零士です」と付け足すと、春風さんは戸惑い、困惑しながらも、零士に手を伸ばした。



「ははいぃ!」



零士は珍しく、自分から初対面の人に、抱っこをせがんだ。



「可愛いー(笑)」



「…ぇ…?」



私は言葉を無くした。

共演した人で、春風さんが初めて、零士を可愛がってくれたから。

零士は人に対する好き嫌いが多いから、嫌われる。

2人で頬擦りしてる姿が、私には奇しくも、親子に見えてしまった。
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