【完】私と息子に幸せをくれた人(中篇)
何事もなかったように撮影を終えるも、ちょっと椎名さんたちを見て、寂しくなった。

簡単に“春風聖は私の彼氏”と言えない事が、何よりも寂しい。

楽屋に戻ると、零士をギュッと抱き締めた。

聖も一緒になって抱き締める。



「私の事も…抱き締めて欲しい」



ちょっと我が儘を言ってみた。

聖は「どんだけ可愛いの?」と、“我が儘”なんて思わなかったのか、笑顔で抱き締めてくれた。

けど、途中で帆波さんとRyoさんが来てしまい、温もりはすぐに消えた。

今日は一緒に居れないのに―…。

私は後ろを何度も振り返りながら、帆波さんと途中まで帰った。




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