朱の蝶
開かれるドア

「どうした?」

「ゲン、眠れないの
 一緒に眠ってもいい?」

「悪い、今日は仕事の件で
 色々と、やる事がある」
 
「そうだったね・・・
 
 がんばってね」

閉まるドア・・・

食事の席で、弦は言う。

「現場監督さんだなんて
 すごいね」

「すごくなんかねえよ

 親のおかげで、今の職に
 在りつけて、この年に
 なっても、何ひとつ
 うまくできない

 それでも、それなりに
 毎月給料は支払われ
 俺は難なく生きて行ける

 俺のような人間でも
 楽々と世を渡れる」

「ゲン?」
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