朱の蝶
俺と年の代わらない彼女の
事を友達だなんて・・・

でも、後にその理由が
分かった。

彼女は、母の通う病院の
事務員。

心を病んだ母は、彼女に
娘、弓の姿を重ね、絶対の
安心を寄せていた。

悲しさの余り、仕事に
逃げる夫。

牢屋の中、傍に居ては
くれない息子。

こんな頼りない男どもを
残して、あの世に行って
しまった、二度と会う事
の叶わない娘。

母は一人きり、心は壊れ
彼女に救いを求めた。

そんな母の気持ちを酌んで
くれた彼女は、母の傍に
いつも居てくれた。
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