朱の蝶
彼女の涙は

以前、一新を愛して流した
私の涙に似てる。

『チカゲ、お前だけや』

聞きたくない声

聞こえる・・・

「チカ

 チカ

 出てきてよ」

頼りない貴方の声・・・

ゆっくりと開かれるドア

「チカ・・・」

「何も言わないで
 何も聞きたくない

 ただ、一つだけ
 
 愛が無いなら教えて
 私はここから消えるから」

「愛ならあるさ
 
 ここに」

俺は、この胸を強く叩いた。
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