朱の蝶
俺の肩に腕を回す
お前の体は震えている。

「チカ?」

お前の背中を擦ると
頼りない声が聞こえた。

「愛が無い
 言われたら、私
 
 どうしよう、思った」
 
涙に濡れる、お前の瞳に
キスをひとつ、頬にひとつ
そして、柔らかい唇に
そっと触れる。

口づける・・・

俺の瞳に、お前が映る。

「チカ
  
 お前を愛してる」

お前は、泣き顔で俺に問う。

「ほんま?」

お前の瞳から、涙が
ぽろぽろと零れた。
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