朱の蝶
「お腹空いたでしょう
 ここで食べようか?」

貴方は、勢いよく
起き上がる。

「いやっ、せっかくだし
 着替えろよ
 
 近くの公園に行こう
 外で食べた方がうまい」

「うん、そうだね」

下着姿で、床に手を伸ばし
拾ったのは、白地の洋服。

シンプルだけどスカートの
裾と袖口にフリルが付いて
女の子の心を擽るデザイン。

履いちゃいけないような
気がして、手を出せなかった
スカート。

女である事を捨てたあの日
スカートも一緒に捨てた。

思い切って履いてみたけど
公園にはズボンの方が・・・

「チカ
 その服、着て行けよ
 似合ってた」
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