朱の蝶
おばさんの携帯電話が鳴る

「あらあら、主人からだわ
 もしもし、少し待って
 ください

 じゃあ、チカちゃん

 あっ、そうだわ
 この間、お兄さん
 見かけたわよ
 
 パリッとスーツを
 着込んで素敵な人ね」

一新・・・まさか

居場所が、ばれた?

それから幾日と時が過ぎようと
この場所に、私に会いに来る人
はいなかった。

夜になり、久しぶりに仕事帰り
の浬さんと塁さんが、この家に
晩酌に現れた。

浬さんの、弟の厘さんも一緒で
会うのは、今日が初めて。

二人は、とてもよく似ている
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