朱の蝶
「ああ」

「ユミが生きていた頃を
 思い出すな」

「ああ」

「チカちゃんとは
 うまくいってるみたいだな

 聞いた時は、驚いたがな
 お前が、20歳の女と
 どうこうなるなんてな」

「俺が一番、驚いてる」

「それで、どうだ?
 
 例の電話の相手は
 訪れたか?」

弦は、顔を左右に振る。

「いやっ、誰一人
 この俺に会いに来ねぇよ

 やっぱり
 チカなのかもしれない」

「お前の名前を聞いて
 彼女が驚いたからか?」

「ああ、でも
 それなら何故
 何も言わない・・・」
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