朱の蝶
夏だというのに、黒いスーツ
で極めた、厳つい男。

「やっぱり、タスク
 あんた、やったんか?」

祐は、深く頭を下げた。

「二代目、すいません
 貴女の後を付けて
 こんなところまで
 押しかけて・・・
 
 篠の兄貴が、二代目
 貴女を無事に連れて
 帰ることを望んでいます」

「そうか
 
 タスク、一回来て
 何で帰ったん?」

「・・・・・・」

「あんたの優しさからか
 なんか知らんけど
 
 イッシンに、この場所が
 ばれへん、そう思ったん
 やろう?アホやな
 
 その傷、イッシンに
 打たれたんちゃうの?」

祐の唇の端が青くなっていた
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