朱の蝶
私は俯き、水着が入った
ビニール袋を握り締めた。

「わがまま、言うてるのは
 分かってる
 
 あんたを困らせることも」

「好きにしてください
 二代目
 
 私は、何も困りません
 
 三日後、ここを発ちます
 ここにはもう二度と来ません

 組のもん、誰も来させません

 組に戻るも、戻らへんも
 二代目、貴女の思うままに
 決めてください」

千景は、笑う。

「私の思うままに・・・
 
 あんたのいつもの口癖
 聞けた・・・

 私の心はもう決まってる
 三日後、ゲンの家の前に
 迎えに来て
 彼に、全てを話して
 終わりにするから」
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