朱の蝶
塁さんの声・・・

少し離れた場所に
塁さんと浬さんが立っていた

不機嫌な弦の瞳が男達を
にらみ付ける。

その状況に、男達はさっと
私の前からいなくなった。

「チカちゃん、お待たせ
 
 あれっ、セキさん
 どうしたの?」

「どうもしない
 チカ、行くぞ」

私の手を強く握り締めて
黙ったまま車へと向かって
歩く弦。

「セキの奴
 気が気じぇねえの」

笑い合う、浬と塁。
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