朱の蝶
「ゲン
 何、怒ってるの?」

「怒ってねぇよ」

「怒ってるよ」

「お前は、女だって事
 もっと自覚しろ
 ボーっとしてんなよ」

そう言われながらも
当の私は行きかう男性と
肩と肩がぶつかる始末

貴方は、私の手を引き
肩を抱き寄せた。

「本当、手の焼ける女
 放っておけない

 俺の傍、離れんなよ」

「うん」

「チカ、帰ろう」

「うん、早く帰ろう
 二人きりになりたい」

歩きながら、私は貴方に
この身を委ねる。

離れんなよ・・・
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