朱の蝶
最後の愛

幕切れ†千景

離れたくない・・・

でも、明日が

来るよ

「夕食、カレー作って
 待ってるから
 早く帰って来てね」

「ああ、行ってくる」

私に背を向ける弦の腕を
私は掴んだ。

「どうした?」

泣いちゃいけない

今日という日を台無しに
したくない

「ううん、気をつけて
 行ってらっしゃい」

貴方は、私の頬に優しい
キスをくれた。

「そんな顔すんなよ
 すぐに帰って来てやる」

『すぐ、戻ってきたる』
< 199 / 451 >

この作品をシェア

pagetop