朱の蝶
頭の中いっぱいに、空想を
広げる私に、兄は言う。

「ほらっ、もう寝え」

私は、兄と約束したとおり
兄と手を繋ぎ、ずっと
おとなしくしていた。

窮屈で、息苦しい・・・

もう、そろそろ限界・・・

その時、煙草を吸う為に
兄の手が私から放れた。

私は、着物姿に草履で
駆けだす。

「こらっ、チカ

 チカゲ」

兄が、私の名を叫ぶ声が
神社に響く・・・

着物の裾が邪魔して
上手に走れない私は
あっという間に兄に捕まった
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