朱の蝶
お前は、悲しい瞳とは裏腹な
軽い口調で話す。

「そんなん決まってるやん
 アンタの命
 貰いに来たんや」

そう言った後の、お前の
冷めた瞳が俺を突き刺す。

可哀想な女・・・

それは、やはり、お前。

可哀想な女を装っただけの
ことだとお前は言う。

愛の言葉も、あの誓いも
全て、嘘だと・・・

「・・・
 最初から愛なんて
 ・・・ない」

俺には、そうは思えない。

お前が俺に放った言葉
全てに、俺への愛を感じた。

お前は、嘘などついていない
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