朱の蝶
兄貴が嘆くと分かっていても
この俺に深い傷を負わせる為に
お前は、俺に抱かれ、俺を
愛しているふりを続けた。

『・・・
 やっと、帰って来た
 お兄ちゃんは・・・
 
 屍やった』

考えて見れば、お前が
この俺を愛す訳が無い。

「・・・
 殺した男と、その妹を
 アンタは二度と忘れられへん

 二度とな・・・」

お前が言うように、俺は二度と

チカ・・・

お前を忘れられないだろう。

「・・・
 お前の復讐は、成功だ」

お前の頬を流れる涙に
俺はもう触れる事はできない

もう、二度と・・・
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