朱の蝶
加速する、スピード

早く、もっと早く、飛ばせ

駅の前に、車を路上駐車させ
俺は夢中で、チカの姿を探した

辺りを何度、見渡してみても
声を張り上げ、愛しいお前の
名を呼び続けても

「チカ、チカ

 どこにいる

 チカ・・・」

お前の姿は、どこにも
見当たらない。

停まっている電車に飛び乗り
手当たり次第、探してみても
お前はどこにもいない。

ピー

発車のベルの音と共に、俺は
電車を飛び降りた。

走り出す、電車・・・

そして、俺は気づいた。
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