朱の蝶
「ハルちゃんも、そうかい
 じゃあ、ゲン
 彼女を送ってあげてくれ」

「いえっ、まだ明るいので
 私、一人で帰れます」

「送って行くよ、行こう」

俺は、彼女の荷物を持つ。

「ありがとう」

車内に、二人・・・

流れるラジオ

話す事は何も無い。

沈黙が続く・・・

「あの角を曲がったところで
 降ろしてください」

「家の前まで、送るよ」

「すみません」

春華の住む、アパートの前
に停まった車。

もう五分ほど、この場所に
こうしている。
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