朱の蝶
当の俺は、それを冷めた瞳で
見つめ、服を脱ぎ合うことも
面倒だと

ただ、触れたい

ただ、果てたい

それだけを思ってた。

邪な、心・・・

洋服を身に纏ったままの彼女
と抱き合い、口づけを交わす
俺は、ふとある事に気づく。

『抱かなくていいよ
 貴方を近くに感じたいの』

向かい合い、抱きしめ合い
二つの肌を、これでもかと
いう程に近づけ合い

チカと俺

二人眠った、あの日・・・

熱い体温に、溶けて
互いの一部になった。
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