朱の蝶
「チカゲ、こら」

兄に頭を叩かれると思い
目を閉じた私。

何だか、とっても
気持ちいい。

それはなぜかと言うと
兄が優しく、私の頭を
撫でてくれたから・・・

「お兄ちゃん?」

「今日は、めでたい日や

 怒らへん
 そう、決めてるからな
 
 ほらっ、チカゲ
 好きなもん言いや」

私は兄に手当たり次第、出店に
売っている物を強請り、買って
もらった。

二人で花壇に座って、いちご飴
を食べていると聞こえる声・・

「なあ、お母さん
 あの子、かわいいな」

上品でお洒落な洋服姿の
女の子がそう言って、私を
指差した。
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