朱の蝶
「それは、できひん
 
 リュウゴの為に命かける
 義理は、ワシや神前には
 これっぽちもない

 それに今、聞いた話が
 全部やったら、それは
 ただの兄弟喧嘩やないか
 
 そんなん勝手にやっとけや」

一新は、煙草を銜え
火をつける。

一新の言っている事は
決して間違えではない。

「そうか、イッシン
 アンタの気持ちは
 よう、分かったわ」

「二代目?」

祐は、心配そうに千景を
見つめる。

千景は、一新を見つめる。

「ただし、これだけは
 言わせてや」
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