朱の蝶
大きく息を吸い、吐きながら
髪を後ろに掻き揚げた私は
言う。

「これから、西村組に出向き
 四柳を遣る
 
 お前等、黙って
 この私について来い」

「おう」

見たくない現実を、私は嫌でも
この目にする。

私の心は、悲鳴を上げる。

ねえ、弦・・・

独りきりは

死ぬほど寂しい・・・

ゲン・・・

愛してる、アンタに

死ぬ程、逢いたい

朱色の蝶・・・

アンタは知ってる?

現実は、そう甘くない。

甘くない、でしょう?
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