朱の蝶
二人は、両手に酒のビンを持ち
その手を高く掲げた。

「セキ、飲もう」

「飲もうぜ」

「おいおいっ」

二人は、勝手にズカズカと
家の中に入る。

「マジ、勘弁してくれよ」

閉まるドア・・・

居間の、テーブルの上に
置かれた、ビールの空缶は
たった、ひとつ。

塁は、言う。

「セキ、しけてんなぁ」

「うるせえよ」

「グラス、使うぜ?」

「ああ」

テーブルに置かれた、酒瓶
塁は、グラスを三つ取る。
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