朱の蝶
女の顔を思いっきり引っ叩く
私の手は痛くて堪らない。

痛いのは、心・・・

本当は組の金なんて
どうでもいい・・・

人を叩くのは、苦しい。

消えた男、どうでもいい。

「金の在り場所は
 この際、どうでもええ
 
 シロウの居場所
 教えてもらおか?

 教えてくれさえすれば
 アンタは、ここから出られる
 
 後は、シロウを締め上げる
 までや」

「知らん、あんな男
 
 うちの事、捨てた男の
 居場所なんか知るか?」

そう言って、女性はお腹に
手を置いて撫でた。

「お腹、痛いんか?」

女の顔色が変わる・・・
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