朱の蝶
女は、包丁を握り締め
過去を思い出す。

カーテンの隙間から光が差す
ベッドでじゃれ合う、恋人達

笑い合う声・・・

ワタシは幸せ・・・?

笑う事を止めた女は暗い表情を
浮かべ涙を流し、小さな声で
愛しい男に問う。

『リュウ、さん
 ほんまに、ええの?
 うちなんかで・・・
 うちは、シリュウの・・・』

『お前が、ええ』

そう言って、ニイナの胸元に
甘える柳五に誓う。

『二度と・・・
 アンタ以外の男には
 抱かれへん』

『アホ、気にすんな 
 誰に抱かれても
 おまえは、オマエ
 
 俺のもんや』
< 348 / 451 >

この作品をシェア

pagetop