朱の蝶
「シロウは、うちの田舎
 兄ちゃん家に匿って
 もらってる
 お金は、シロウが全額
 持ってる」

「そうか、アンタの田舎は
 何処や?
 ・・・
 そうか、手荒な真似して
 悪かったな」

拘束を解く、私に向かって
女は言う。

涙いっぱいに潤む瞳で
この私を見つめる。

「アンタ、この街で
 女のくせに、組長
 張るだけのことあるわ

 アンタみたいに怖い女
 今まで合ったことない
 
 妊婦のお腹を打とうやなんて
 アンタ、女ちゃうね・・・
 
 正真正銘、男やわ

 女やと思って、アンタを
 見縊ったうちの人は
 ほんま、アホやわ・・・」
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