朱の蝶
弦を、一緒に連れて

行かんといて

弦を、私にちょうだい

大事にするから

私には、弦しか居らへん

「ゲン・・・
 目開けて、私を見て

 私を見てや」

千景の涙がポタポタと
弦の頬に落ちた。

『俺の傍、離れんなよ』

弦の指先が、微かに動く?

何時間にも及んだ抗争は
こうして幕を閉じた。

その後、鳴り響く
サイレンの音・・・

赤いライトが

チカチカと光る。
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