朱の蝶
組長の、部屋の前

刑期を終えて、二年ぶりに
愛する千景に会える。

大きく息をついてドアノブに
触れ、開けると吹きぬける風

開かれた窓にぶら下がった
ブラインドがカタカタと揺れる

室内は、もぬけの殻・・・

「二代目は?
 
 どこへ行かれた
 
 誰か知らないか?」

誰も知らない・・・

「二代目を探せ」

「やめろ
 
 もうええ
 
 彼女を
 探さなくていい」

その声に立ち止まる男達。
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