朱の蝶
「一生のお願いだ
 ・・・」

弦を茶化す、塁。

「ルイ、それ以上言うと
 遣るぞ」

私の隣に立って、大きな声で
笑うのは、浬さん。

「チカ、おかえり」

「ただいま」

「じゃあ
 手、貸して?」

差し出された大きな手に
首を傾げる私。

「ほらっ、早く」

浬さんの手に触れる私の手。

浬さんは、その手を強く
握り締める。

「えっ?」

そして、浬さんは勢いよく
駆け出す。

手を繋いだまま、私も一緒
に駆ける。
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