朱の蝶
私の頬を流れる、涙

兄を思って流れる、涙

「お兄ちゃん

 ありがとう」

私達は、抱きしめ合って眠る

互いの香り、汗に塗れて眠る

それからの弦は、もう
怖い夢を見なくなった。

兄は今

安らかに眠る・・・

兄は、晴れ渡る空の遥か彼方

ずっとずうっと向こうから
私の事をきっと、見守り続けて
くれているはず・・・

『チカゲ・・・
 
 何も寂しいことないで』
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