朱の蝶
どんどん、どんどん大きくなる
お腹、変わっていく体に
千景の想いが付いていけて
いないのか、お前は不安な
表情を浮かべる。

「不安、なのか?」

頷くお前を、俺はこの腕で
優しく抱きしめた。

いつか聞いた、お前の話

神前組・二代目として生きて
いた頃の、お前に起こった
出来事により受けた、傷

苦しみ・・・

忘れていたのに、妊娠を気に
千景は思い出し、今、また
苦しむ・・・

「私のせいで、彼女は死んでん
 
 ほんまやったら、彼女は今頃
 あの街で、お母さんに
 なってた・・・」
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