朱の蝶
「チカゲ、お前のせいじゃない
 
 悪いのは、彼女を巻き込み
 彼女を危険な目に合わせ
 彼女を捨てた、その男が悪い

 お前は悪くない」

「タスクにも同じようなこと
 前に言われたことある・・・
 
 でも、ほんまに私
 悪、ないんかなぁ?」

抱きしめる腕の中、お前は
小さな肩を震わせる。

「千景、もう考えるのはよせ
 お前は一人の体じゃない
 
 お前が元気が無いと
 お腹の赤ちゃんも
 心配するぞ」

「うん、そうやね」

微笑む、お前の瞳は笑わない

そう、お前の不安がそれだけ
では無いことを俺は知っている
< 442 / 451 >

この作品をシェア

pagetop