朱の蝶
俺は、あの抗争の後
仮釈放を取り消され
刑務所へ逆戻り、刑期を終え

この街に戻って来てから
今日まで、一度も祖父の家へは
顔を出していない。

両親に会うことは無かった。

自分の想いだけで突っ走り
仮釈放を取り消され、両親
や親戚を悲しませたこと

母が千景のことを、よくは
思っていないこと

肉親の冷たい視線、罵声を
受ける勇気も、千景との事を
話す事も面倒で・・・

俺の足は、この場所から
遠のくばかり・・・

そんな、俺に千景は言う・・・

「籍なんか入らんでいい
 
 肩書きなんか無くても
 私等は、この子の親に
 代わりないねんから・・・」
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