朱の蝶
「俺が、千景を幸せにして
 やらなくて、どうする・・・
 
 俺は決めた・・・
 千景を俺の籍に入れる
 
 千景の腹には俺の子
 がいる

 それだけ言いに来た
 帰るわ」

背中を向け、玄関へ向かう
俺に、母の声が聞こえた。

「ゲン、今度、二人で
 ここへいらっしゃい
 
 彼女に、謝りたいの」

「ありがとう」

俺は、何を考えていた。

話すこともせずに、逃げて
結論はこんなにも簡単に
出たのに・・・

くそ、俺はどうしようもない
バカな男だ。
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