朱の蝶
俺は車を走らせ、千景の元へ

庭に咲き乱れる花の上に
放置されたままの如雨露

開いたままのドア・・・

「千景・・・」

部屋の中、腹部を押さえ
苦しんでいる、千景。

「イタイ・・・」

「チカゲ、どうした
 救急車・・・」

「ううん、大丈夫
 
 薬、飲めば
 大丈夫やから
 
 そこにあるの
 取ってくれる?」

そこには、産婦人科で
処方された薬が入っていた。

薬を飲み、ベッドに横になり
眠る千景・・・

青白い肌、紫がかった唇
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