朱の蝶
「ありがとう
 
 ほんなら、弦の罪も
 私が一緒に背おったるね」

「ありがとう」

私を優しく抱く、弦の腕。

「なあ、弦
 もっと強く抱きしめて」

「駄目だ」

「赤ちゃんも抱きしめてって
 言うとう」

「ほんまか?」

「ほんまに、ほんま」

貴方に強く抱きしめられて
私は、苦しみから解放される

貴方の声が囁いた。

「千景
 籍、入れに行く?」
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