朱の蝶
移動手段にタクシーを使おうと
タクシー乗り場らしき場所へ
移動する。

その時、不意に現れた
女の子とぶつかる。

「うわ、ごめん
 痛なかった?」

尻餅をついた小学生ぐらいの
女の子は泣かずに、大きな瞳を
開けて何が起こったのか驚いて
いる。

私が少女を、その場に立たせて
あげると、可愛らしい声が
聞こえた。

「お姉ちゃん、ありがとう」

「ええよ
 
 ぶつかってもて
 ごめんなぁ」

「ううん」

「チヨ」

名前を呼ぶ、女性の声。

「ママ
 おかえりなさい」

少女は走って、母親が立つ
場所へと向かう。
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