朱の蝶
俯き、足元を見つめる千景。

『チカ、待っとけよ
 ・・・・・・
 すぐ、戻ってきたる』

私から、お兄ちゃんを
奪ったのは、関上・・・

貴方・・・

「ムカついても
 復讐もできひんやん

 アンタ殺ったら
 あの子が悲しむ・・・」

貴方に会いたいだなんて
思わなければ良かった・・・

「ゲンちゃん?」

「セキさん・・・」

駆けてくる足音・・・

貴方は、走って来てくれる。

泣いている、私の元に。

貴方は、言う。
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