朱の蝶
「お兄ちゃん・・・
 
 大きい魚なんかいらんから
 チカの傍に、ずっと・・・
 おってほしかった」

生きていて欲しかった。

亡骸に、何を告げても

貴方の声・・・

『チカ』

何も、聞こえへん・・・


お兄ちゃん、苦しいよ

あたし、ここから

逃げてもええかな?

聞こえない声・・・


聞こえるのは

聞きたくない声。
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