せつなくて
ドキドキドキドキ―――――――――
「莉々?」
後ろから名前を呼ばれる。
心地よく響く爽やかな声。
振り返ると、制服に着替えた圭人がいた。
「遅くなってごめんな」
「ううんっ、全然!」
ああ、だめだ、恥ずかしい。
目を直視できないよ。
「はい、これ」
差し出されるTシャツ。
ふわっと圭人の匂いが広がる。
あたしも咄嗟にTシャツを差し出す。
「ありがと!じゃあ俺行くね」
ほほえむ圭人。
うなずくことしかできないあたし。
あたし、このままでいいのかな?
圭人は、照れ屋なあたしも好きって言ってくれるけど
これはあまりにも...失礼だよね?
よし、頑張るなら今だ!
「あのっ!今日はお疲れ様!」
圭人はビックリして振り返った。
莉々もだろ、って笑って。
そしてあたしの頭をクシャッとして。
すごく幸せだって思ったの。
こんな関係がずっと続くって、信じてたの。