せつなくて

あれから何日か経ったけど。
楓とはなんのやりとりもない。
あたしの中ではもう、
あのメールは無かったことにしていた。
楓には悪いと思ってるけど...





「莉々っ」

愛しい声。
今日は初めて圭人の家に来ている。
あたしはやっぱり圭人が好きだ。

「莉々こっち向いてよ~」

相変わらず照れ屋なあたしは
圭人の顔を見ることができない。
こんな自分がもどかしくって嫌いだ。
部屋に貼ってあるポスターを見まわして
平然を装ってみる。
サッカーのポスターばっかり。
圭人サッカー大好きだもんなー…




そのときだった。




グイッ




・・・強く引き寄せられた体。
激しく暴れ出す心臓。
近づいてくる圭人の顔。
うそっ、あたし―――――――――

そう思った瞬間にはもう遅かった。
あたし、圭人にキスされたんだ――――――


「けい、と...?」


「やばい...その顔反則」


再び近づいてくる圭人の唇。
あたしはギュッと目をつむった。
すごく恥ずかしかった、でも。
それ以上に幸せだった。


「んっ!」


唇の隙間から入り込んでくる熱い舌。
あたしの脳内に電流が走る。
絡み合うお互いの気持ちが心地よくて。


「莉々.....」


吐息混じりの甘い声。
こんなの、ずるいよ。
あたしだって理性がもたない。
圭人の腰に手をまわす。
更に激しく求めあうあたしたち。
圭人の手があたしの腹部に触れる。






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