君とわたしの物語。
1
キーンコーンカーンコーンー―…
遠くでチャイムが聞こえる。
やばい、遅めの昼食を取ってからずっと寝てたらしい。
今のチャイムは多分5時間目が終わったやつだろうな。
カウンターの椅子に座り寝ていたせいか、首が痛い。
いやいや、そんなことを言ってる場合じゃない。
(生徒たちが来る前に整理しないといけないんだった。)
ここは私立桧森高校の図書室。
わたし水島 和未は
この図書室の司書として働いてる。
…正しくはアルバイトだけど。
もともと本が好きだったのもあるけど、短大を卒業しても就職が決まらなかったわたしに、前の司書の奥田さんが是非と声をかけてくれたのだ。
実はわたしはここの卒業生で、奥田さんとも仲がよかった。
それでいて奥田さんが退職なさるというもんだから、就活に失敗したわたしにもやっとツキが回ってきたというところだ。