15のチルドレン -Secret End-
好奇心を向けてくる坂本に、「大学でだよ」あしらうように返答。
気にすることもなく坂本は大学か、と瞬いて温めた煮物を口に入れる。
里芋を噛み締めながら、
「奥さん。見る目なかったんだな」
遠藤って良い奴なのに離婚なんてモッタイナイ、と俺をさり気なくフォローしてくれた。
ま、友情と恋愛は違うと思うぜ?
結婚なら尚更だ。
プライベート空間を常に共有しなきゃなんねぇわけだし。
「じゃあさ、彼女はいねぇの?」
こいつは…っ、次から次に独り身の心を抉るような発言を。
「いると思うか?」
「んにゃ」
即答してくる坂本の笑顔に拳骨をかましたくなったのは、俺が大人気ないせいか? せいなのか?
親友とはいえ相手は中坊、殴ったら俺の器の狭さがばれちまう。
俺の怒気に気付いたのか、「ま、まあ」すぐに出来るんじゃね? これまたさり気なーくフォローしてきてくれる。
やっぱ殴るか、こいつ。
「遠藤も秋本も今は恋愛してねぇんだな。おもろくねぇや」
そういう自分はどうなんだよ、センセイと恋愛しているんじゃ?
皮肉りたかったけど、坂本は自分の恋愛には否定的だ。
恋愛は無理だって思い込んでいるから、言葉は嚥下しておくことにする。
しゃーないよな、こんな現状なんだし。
「なあ、遠藤。もしもさ、ずっとこのままだったら俺、どうなるのかな」
ふと零す坂本の不安。
白飯を咀嚼しながら、坂本はずっとこのままだったらどうしようと吐露した。
俺は即答。
「俺達が匿ってやるって」と。
「いやでもさ」
二人とも自分達の生活があるし、坂本は箸を銜えたままボソボソ。